前回の対談に続き、肝臓を専門に研究を続ける長嶺竹明医師がオキナワモズクの可能性について探ります。
今回の対談相手はヤクルト本社でフコイダンを長年にわたって研究開発してきた上山貞夫氏。ヤクルトといえば「フコイダン入りお茶」の研究開発元。オキナワモズクについて新たな発見がありそうです。
【お話のポイント】
・フコイダンがピロリ菌対策に有効
・機能性胃腸症の症状改善にも
・乳酸菌の代替となる天然素材フコイダン
・オキナワモズクは多糖類のフコイダンを大量に含む
【対談者】
●長嶺竹明(ながみね たけあき)
医学博士(前・群馬大学大学院保健学研究科教授)1949年、那覇市生まれ。76年に群馬大学医学部を卒業し、同学部第一内科に入局。保健学科教授を経て11年に同大学院保健学研究科教授に就任。この3月に退官し、4月からは沖縄で治療・研究に携わる。
●上山貞夫(うえやま さだお)
元・株式会社ヤクルト本社中央研究所リーダー。1943年兵庫県生まれ。神戸大学農学部卒業後、1967年に株式会社ヤクルト本社に入社。中央研究所に勤務し、2004年に定年退職。中央研究所ではフコイダンのもつピロリ菌の定着阻害作用や抗腫瘍作用などの機能性を研究。
胃潰瘍に効果的な沖縄産のフコイダン
長嶺 上山さんは乳酸菌飲料最大手の株式会社ヤクルト本社でフコイダンの研究をされていたようですが、その経緯をお聞かせください。
上山 私たちのグループはヤクルトの研究所でビフィドバクテリウムという乳酸菌の作用を研究していたのですが、その菌に胃潰瘍の原因となるヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の付着作用や抗腫瘍作用などがあることがわかりました。
しかし、菌体は培養するのには多額の資金を要します。そこで、同じような作用を持つ安価な天然素材はないものかと探していたら、オキナワモズクがフコイダンという多糖類をかなりたくさん含んでいるということを知り、早速研究を始めました。するとそのうちにフコイダンは「機能性胃腸症」の症状を改善したり、ピロリ菌が胃壁に付着する作用を抑えたりすることがわかりました。
上山 ピロリ菌の付着を抑えるというのは、胃壁に付着したピロリ菌を剥がすのではなく、ピロリ菌がフコイダンを胃壁と間違えて付着するために体外に排泄されるということです。
また、機能性胃腸症は以前まで、機能性=気のせいと言われていましたが(笑)、実際に症候群としてあるんですよね。
長嶺 そうですね。機能性胃腸症の具体的な症状としては、食べてすぐに胃がもたれる、あるいはすぐにお腹いっぱいになる、また痛みを感じるなど、いくつかのパターンがあります。恐らくフコイダンは胃もたれの方に効くのかなと考えています。
具体的なメカニズムがわかれば説得力がでてくるでしょうね。
※続く