格差社会の議論の前に、もともと私たち人間は、「健康」「家庭の経済」「人間関係」の不安をかかえながら生きている存在であることを思い起こさなければなりません。また、その不安を解消するために生涯努力することが、人生の目的だったり、生き甲斐になったりするわけです。
中でも最大の不安は「病気」です。その証拠に、お金があればある人ほど、友達がたくさん居ればいる人ほど、ガンや糖尿病にならずに長生きするためには「何をどう食べたらいいか」と、悩みの種は募るばかりです。
そうは言いながらも私達は、日頃元気なときには、自分の大事な「健康」をお医者さんや奥さん任せにして、平然としている存在でもあります。
他方、家族の健康を預かる主婦の側にしても、調理の勉強をしておいしい食事は作れても、それがヒトの細胞に良い食事かどうか、普段殆どの人がそこまで気を揉むことはないように思います。
続く
筆者:石野 正聰(いしの まさとし)
1935年生まれ 鹿児島県出身 九州大学卒業 食物研究家